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宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
中外日報社「宗教文化講座」

平和の理念見失うな 国際法の下での世界秩序(1月7日付)

2026年1月9日 13時46分

アメリカ軍は3日、ベネズエラを急襲して大統領夫妻を拘束し、ニューヨークに移送した。いくら“世界の警察”を自認するアメリカであろうと、一国の大統領を拉致して自国の裁判にかけることは国家主権の無視にほかならない。その上、アメリカにはベネズエラの石油を巡る権益確保の狙いがあるとも指摘されている。大国なら何をしてもよいのか。ロシア、中国に次いで、アメリカまでもという感を覚える。

2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、5年目に入ろうとしている。停戦交渉は続けられているものの、散発的な戦闘がいまだに絶えず、先行き不透明な状況だ。また海洋進出を続ける中国は、南シナ海で軍事基地を造り、自国領の既成事実化を図ろうとする一方、東シナ海でも活動を活発化し、昨年の暮れには台湾全土を取り囲む形で、ロケット砲まで用いた大規模な軍事演習を行った。

大国にとって国際法は自国の利益にかなう時には従うものの、これにかなわない時は無視するといわれるが、まさにその通りの事態が起こっている。一つの大国がこれをやり出すと、ほかの大国が同じことをしても、とがめ立てることが困難になる。アメリカ、ロシア、中国はいずれも国連安全保障理事会の常任理事国であり、しかもその地位は恒久的なものだ。拒否権を行使できるだけに、たとえ国連決議がなされてもそれが機能しない状態となる。極端な人権侵害が行われた場合なら、国家主権より人命を優先させる人道的介入は確かに認められる。だが、大国なら何をしても構わないという力の論理がまかり通れば、国際秩序を根底から危うくしてしまう。

この大国の“大悪”に対して、世界平和に関わる各国の宗教者たちは座視することはできないだろう。いかに力の支配の現実があろうと、国際秩序はどこまでも法の支配の理念の下に保持されるべきである。法の支配に欠かせないのは、国際社会の安定と平和を守るという国家間の道義と倫理性を回復する強い姿勢だ。

そうした時こそ、90カ国以上の諸宗教のネットワークを有する世界宗教者平和会議(WCRP)など、多くの宗教関係NGOが国連の場をはじめ、国際社会での発言力を上げていくことが期待される。各国の宗教者はいずれかの国の国民である限り、発言に制約は伴うだろうが、しかしこの一点に関しては、大国の覇権主義に対抗して足並みをそろえ、世界市民的見地に立った世界平和の理想を力強く発信することを期待したい。

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