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中外日報社「宗教文化講座」

訪日研修で交流 実践現場で宗教の可能性学ぶ(3月11日付)

2026年3月13日 09時32分

国際交流基金は人的交流プロジェクトとして「ASEAN次世代専門家グループ招へい訪日研修」事業を展開している。今年度は1月26日から2月2日まで「宗教間対話」をテーマに東京と宮城で8日間のフェローシップ・プログラムと総括セッションを行った。外務省所管で独立性を保つ機関が宗教間対話に視点を向け、多様化する社会で宗教が果たす役割の大きさを客観的に認識する機会を設けた意義は大きい。

参加したのはインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、東ティモールのASEAN諸国で宗教の社会活動に携わる次世代の宗教者、学者、知識人、実務家ら10人。日本の宗教者の地域レベルでの活動への視察を踏まえ「分断」の時代にあって宗教が共生と協力の基盤となるための方法について議論した。

東京では大塚モスクや明治神宮などを視察。「おてらおやつクラブ」や天理教の里親活動についてのラウンドテーブルを開催したほか、路上生活者を支援する僧侶による「ひとさじの会」の夜回り活動にも参加した。宮城では臨床宗教師の活動に関する東北大での意見交換、石巻モスクや東日本大震災で地域の避難所となった曹洞宗洞源院なども訪問した。

セッションでは「分断と宗教」という問題設定のもと「地域社会」「災害」「若者の孤立」の三つの点から意見交換した。その中には注目すべき発言がある。2月6日付本紙は「日本のモスクでは近隣住民への配慮のためアザーン(礼拝の呼び掛け)を行わないなど静かに礼拝している姿が印象的だった」「多極化する社会にあって宗教は、階層や違いを超えて人々をまとめる力がある」「日本には苦しんでいる人を前に、説法ではなく傾聴に取り組む宗教者がいた。苦しみに共感し、沈黙を共にすることの大切さを学んだ」「災害が発生した際、宗教は信頼のシンボルとして重要な役割を果たす」などの発言を伝えている。

事業アドバイザーの木村敏明・東北大教授は「ASEANの若い宗教リーダーらが日本に集まること自体が珍しく、参加者からは宗教が社会貢献している現場に実際に赴いて話を聴くという体験が新鮮だったとも聞いている」と話している。これまで日本の宗教者が地域レベルで行ってきた「社会貢献」の実践現場をASEAN諸国の有識者が訪れて意見を交わしたことは、宗教の可能性を日本から世界へ発信し相互啓発を促すものとして重要な意味を持つだろう。

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