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国旗冒涜の罪 何のために、いま必要か(6月17日付)

2026年6月19日 09時27分

刑法の一部を改正し「国旗損壊罪」を新設する「国旗の損壊等の処罰に関する法律案」の国会提出へ向け調整が進められている。高市早苗首相がかねて力を入れてきた法改正で、今国会中の成立を目指しているが、憲法が保障する表現の自由の観点などから議論になると指摘されている。何のために、いま、国旗の冒涜罪が必要かが問われるだろう。

改正案は、刑法第94条の2として「日本国に対して侮辱を加える目的で、国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者を、2年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金に処する」とする。国旗を尊重し、敬意を持って扱うのは当然のことである。ただし、国家権力で強制するのは少し違うのではないか。

有村治子・自民党総務会長は「G7諸国の中で、外国の国旗を損壊する行為に処罰が科される一方で、自国の国旗を損壊する行為に処罰規定がないのは日本だけ」と自身の「X」で主張している。

公平ではない、日本だけが遅れているというわけだが、アメリカの場合、国旗保護法が連邦最高裁で表現の自由を定める合衆国憲法修正第1条に違反するとされ、事実上無効となっている。英国にも国旗損壊罪はない。海外の例を出すなら、かえって説得力を失うことにならないかと思われるが、問題は既存の法で取り締まれない市民にとっての害悪がどれほど存在するのか、あるとすればそれは何か、立法事実の問題だ。

もちろん、憲法が基本的人権として保障している表現の自由をかざして日本国国旗を冒涜するのは国民感情として許容し難い。だとしても、新しい罪を設けて取り締まるべきだとは考えない。

漫画家で自民党参議院議員の赤松健氏が「X」で「国旗の損壊等に関する制度検討PT」の合同会議に出席し、「表現の自由的には(法案自体が)無い方が不安は少ないが、止められない場合でもなるべく無害化し、できれば少しでも(反規制側に)押し戻す」べく努力したことを報告している。しかし、プロジェクトチームではたった2人の少数派だったという。

法が成立した場合、その執行の可否を巡って綱引きが行われ、新たな対立が生まれることになるだろう。誰の目にも明らかな冒涜的行為があれば、器物損壊罪など現行法の範囲でも対応できないか。国旗冒涜の阻止が総理の念願であるにせよ、民意を分断させかねない法案実現を強行する意味が疑わしい。その理由を国旗損壊罪を推進する政治家に聞きたい。

もっと先に、あるいは別に、やるべきことがあるのではないか。

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