AI進化の先に 心と深く関わる領域を担う(1月21日付)
AI(人工知能)の活用領域は急速に拡大している。このことが人類の未来に何をもたらすのかを考える必要がある。サイエンス作家でZEN大学教授の竹内薫氏は「AIはこれからさらに汎用人工知能『AGI』(Artificial General Intelligence)へと進化し、人間のような幅広い知的能力を持つ」と予測する。AIは、すでに複数の能力を組み合わせて回答を生成する「AGIの初期段階」に足を踏み入れつつあるという(『PRESIDENT』2025年5月)。
現実的な問題となるのは、AIの進化によって、人間が担ってきた仕事の領域がAIに浸食されることである。多くの職場でAIが担う業務領域が広がり、人間の役割が縮小していく状況は「その仕事に人間が必要かどうか」で人間の側が選別されることを意味する。「生き残る人」と「そうでない人」に分けられていくことが避けられないのなら「生き残る人」はどういう人なのか。竹内氏は三つのタイプを挙げている。
「一つ目は、AIを開発・管理・コントロールする立場にある人たち。AIそのものの設計・運用・セキュリティを担う研究者やエンジニアなどが該当する。二つ目は、AIを活用して、新しい価値を創出できる人たち。単なる効率化にとどまらず、その先に何をうみ出せるかが問われる。三つ目は、AIに代えがたい“心と深く関わる仕事”に携わる人たち。カウンセリング、幼児教育、福祉、介護などの現場では『人と人が向き合っている』という感覚そのものが不可欠で、AIには代替が難しい領域だと考えられる。三つのどれかに属していれば、AGIの時代にも『人間にしかできない役割』を担い続けることができる」
この分類に従えば「心と深く関わる仕事」には、人の生き方や心の悩みに向き合い、先人の知恵を伝え、生きる道筋を示す宗教者の存在が当然含まれる。「AIには代替が難しい領域」、あるいは「AGIの時代にも人間にしかできない役割」を果たせるのは「心と深く関わる仕事」であるというなら、真っ先に挙げられるべきは宗教者でなくてはならない。
AGIの到来は人間が本来の「働くよろこび」を取り戻すきっかけになる、と前向きに捉えることもできる。それは人間ならではの役割、人間本来の存在意義を自らが問い直すよう促されていることを意味している。言い換えれば、AI進化の先にあるのは「宗教」の領域に他ならないということだ。宗教者の存在が一層重要となる時代の到来と言ってよい。







