宗教法人不正利用 「私物化」が背景に(3月20日付)
文化庁宗務課は2025年度補正予算と26年度予算で、「宗教法人格の不正利用対策のための実態把握事業」を開始した。「不正利用対策」に本腰を入れるため、まず実態調査を、というわけだ。
不活動宗教法人は25年末で5千を超えたと宗務課はみている。不活動法人対策として、同課はこれまで都道府県などによる実態調査、解散命令請求等の経費について補助を行ってきた。
なるほど「不活動法人」→「不正利用」というのは分かりやすい図式で、不活動に等しい状態の宗教法人が売買(法人格自体は売買されるものではないから、金銭の供与などによる代表役員の交代)され、脱税やマネーロンダリング、宗教を利用した営業活動等に使われることはある。
しかし、「不正利用」の実態は様々だ。京都市内の某被包括法人(寺院)のケースでは、ある人物が高齢化した住職に宗教法人による高齢者福祉施設の建設計画を持ちかけ、住職の施設入所等を条件に代表役員交代を計画した。その人物は宗教法人法をはじめ法律一般に詳しいことを自認しており、包括法人たる宗派が代表役員交代を認めないことに対抗して単立化を図った。
被包括関係廃止に関わる手続きの是非や身体が衰えた住職の人権問題を持ち出し、一審では勝訴したが、高裁では宗派側の立場が認められた。宗教法人法では被包括関係の廃止に係る不利益処分が禁止されている。これは原則的に信教の自由を保護することが目的だが、包括宗教団体側では単立化を企てた者に対する懲戒処分が規定されることは一般的だ。
前記事例では、被包括関係廃止手続きの前から住職資格のない人物が代表役員の印を私的に用いており、この人物によって寺が乗っ取られることを警戒し、宗派側が説得、警告を行っていた。単立化の目的が「信教の自由」でないことは、関係当事者には自明のことだったと思われる。高裁は裁量権の濫用ではないと宗制に基づく宗派の処分を認めた。
こうした事例を見ると、そもそも「宗教法人の不正利用」は所轄庁が把握する不活動法人に限定できる事柄ではないだろうと思われる。
あえて問題提起をすれば、宗教法人、仏教なら寺の私物化の問題一般に遡って考えるべきではないだろうか。「私物化」に話を拡大すれば手を付けることが難しくなるのは確かだが、そもそも宗教法人たる寺は住職やその家族の私物ではない。その原点に立てば、「不正利用」も本来起こらないはずだ。








