PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
中外日報社「宗教文化講座」

原発事故で避難の青年 ローマ教皇へ苦難の訴え(3月13日付)

2026年3月17日 09時30分

東京電力福島第1原発事故で福島県から東京へ避難中の大学生、鴨下全生さんによる講演が大阪クリスチャンセンターであった。プロテスタントの鴨下さんは、避難後にローマ教皇フランシスコに事故被害の悲惨さを手紙で直訴、招かれてバチカンで、そして教皇来日時にも面会して現況を訴えた。

それが教皇の原発批判声明にもつながり、現在も国内だけではなく、国連やドイツなど各国の学校でも講演を続けている。

発災当時8歳で事故により被曝した鴨下さんは、仕事のある父と離れ、母や幼い弟と慣れない土地を転々と避難、鼻血や嘔吐など体調不良を抱え、生活も不安定だった。さらに転校先の学校では「福島の子」として猛烈ないじめに遭う。「菌」と仲間外れ、暴力、図工の作品に無数の悪口を書かれた。挙げ句に「泥棒」と罵られたのは、「避難者」だから賠償金を受け取っていると親から刷り込まれた同級生たちからだが、強制避難区域外に住んでいた鴨下家には支払われていなかったにもかかわらずだ。

高校時代に体験を発表した際も「避難できた僕らはまだ幸せだった」との言葉に、会場にいた被災者から「どういう意味だ。俺は今でも福島に住んでいるんだ」と罵倒された。鴨下さんは「その人も辛かったはず。苦しんでいる人同士が互いに石を投げ合って、さらに傷つく。それも全て事故の被害」と、放射能の害以上にこの被害者間の分断が苦しかったという。

講演では、事故後の汚染状況の推移などもデータを示して詳述。そして質疑では「大人たちは汚染も被曝も、これから起きる可能性のある被害も、隠さず伝える責任があると思います。嘘をついたまま先に死なないでほしいのです」と書いた教皇への手紙が、無力感に打ちひしがれ、すがる思いからだったと明かした。

原発問題と自らの信仰との関係では「全てのことがいずれ正しい方向に行くと、神に委ねて確信を持てることですが、自分ではまだそこまで到達していない」と正直に告白する。

だが自身のキリスト者としての姿勢は、教皇の心を動かした16歳の時のその手紙の文面に表明されている。「僕たちの苦しみはとても伝えきれません。だから教皇様、どうか共に祈って下さい。僕たちが互いの痛みに気付き、再び隣人を愛せるように。残酷な現実であっても、目を背けない勇気が与えられるように。力を持つ人たちに、悔い改めの勇気が与えられるように。未来から被曝の脅威をなくすため世界中の人が動きだせるように、共に祈って下さい」と。

世論と政府の意思表示 平和を願う国民の声(4月8日付)4月10日

イスラエルと米国によるイラン攻撃は2月28日に始まったが、日本の世論調査では「支持しない」という答えが圧倒的多数を占める。3月6~9日に行われた時事通信社の調査では「米国…

暴走するトランプ政権 バランス感覚はどこへ?(4月3日付)4月8日

時計の振り子のように米国の政治は伝統的に右に触れると左、左に触れると右と、バランス感覚が働く。ただ、それは国民が現実を正しく理解できてのことだ。トランプ大統領誕生以降、米…

「何もしない」危うさ 断絶と排除を弱めるには(4月1日付)4月3日

紛争やヘイトが頻発する世界状況を反映してであろうか、このところ断絶をテーマにしたシンポジウムや講演会の類が多い。昨年12月21日には日本学術会議主催公開シンポジウム「分断…

小雨模様の中、法要の無事円成を祈念し大殿入堂に先立ち営まれた庭儀式

法然上人讃え念仏春風に 僧俗集い報恩 増上寺御忌大会

ニュース4月10日
熱田神宮宮司に多賀氏 住吉大社は加藤氏

熱田神宮宮司に多賀氏 住吉大社は加藤氏

ニュース4月10日
方針を説明する今川宗務総長

【特報】高野山真言宗春季宗会 御遠忌に向け、3施策推進 /服装マナー 露出多めの装い直接指導 「礼服基準」に戸惑いの声/ 駐車場有料化 今川総長「町営化を検討」 背景に入山税構想? 参拝者減の懸念も

ニュース4月10日
「墨跡付き仏像カレンダー」の製造販売は2025年版をもって終了いたしました。
長らくご愛顧を賜りありがとうございました。(2025.10.1)
中外日報社Twitter 中外日報社Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加