PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
2025宗教文化講座
PR
2025宗教文化講座 第22回「涙骨賞」を募集

防災計画と活動の進展 寺と地域との共生から(4月16日付)

2025年4月18日 10時17分

要医療的ケア児の支援など幅広く災害対応活動を展開している大阪市住吉区の浄土宗願生寺で、2町内会合同の防災ワークショップが開かれた。多くの地域住民と区役所や保健センターの担当者、社会福祉協議会関係者、専門研究者らが地域防災を突っ込んで論議することによって、具体的課題が浮き彫りになると同時に、その地に立地する寺院にとっても意義深い内容となった。

4年前から地元関係者と一体で取り組んでいるプロジェクトの一環。同寺が関係する訪問看護センターや大河内大博住職の福祉関係の経験の積み重ねという強みが生かされている。

ワークでは区職員が、行政による災害時の要援護者支援の仕組みを解説。障がい者、要介護・認知症高齢者、難病者から妊産婦、乳幼児まで援護対象者を把握して支援台帳に登録するため、毎年1600通の案内を出し、民生委員が巡回して登録を促している。

実際の対応は「近所の助け合い」を基本とし、地域支援相談員やソーシャルワーカーらがチームを作って、町内会ごとに日常からの見守りや声掛けをし、それによって住民同士の結び付きを強めることで災害時の「共助」につなげる。

次に、保健センター保健師が「災害はすなわち健康の危機」という観点から、医療的ケアが必要な人に対しては、個別のきめ細かい具体的支援計画を作り、有事の際の逃げ場所や医療機器の手当てを段取りしておくことの意義を強調した。

「当事者」として、移動ベッドに寝たきりの重度心身障がい児を育てる母親からメッセージが寄せられ、8階建て市営住宅で災害時の停電でエレベーターが使えないと避難が困難、近所は高齢者が多く助けを期待しにくい、などの深刻な現況が訴えられた。

町会長や住民らも交えたディスカッションでは、要支援者の一部の名簿は入手しているが「個人情報」の壁で十分ではないなどの課題が挙げられた。行政の援護システムはよく出来ているが、実際に要介護者の搬送も含めた災害訓練をするほど新たな課題が続出。高齢者は訓練に参加せず、現実の災害時には昼間は中学生らを“戦力”と考えているとの声も出た。

論議に住職も加わり、同寺境内では緊急用井戸や災害時に炊き出しに使う「かまどベンチ」も整備された。そんな具体的成果もさることながら、このようなワークが寺で行われ、そこに多彩な人々が集うこと自体によって、寺院が地域と共生し防災拠点として意識される効果は大きいだろう。

被爆者が語る実相 悲惨であっても直視を(8月20日付)8月22日

被爆80年の広島で、原爆によって伽藍が壊滅し、親族や檀家も数多く犠牲になった寺で小中学生にも惨禍を語り伝える住職の言葉が衝撃だった。伝承の場で中には気分が悪くなったと訴え…

保守分裂下の戦後80年 社会の「分断」傾向を憂慮(8月8日付)8月20日

間もなく、終戦80年の日を迎える。この80年間、世界のどこかで絶えることなく戦争、紛争が続き、今はロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ攻撃の惨禍が連日報じられている。…

無言の“被爆伝承者” 惨禍物語る宗教施設遺構(8月6日付)8月8日

広島・長崎への原爆投下から80年を経て惨禍を実際に知る被爆者が減り、初めて10万人(被爆者健康手帳所持者数)を下回った。語り部活動は、2024年度で1560回に計10万2…

第2次大本事件解決から80年の節目の年に当たり「先人の不動の信仰をしっかり胸に刻んでおきたい」と語る小林本部長

不動の信仰、胸に刻む 第2次大本事件解決から80年 大本・瑞生大祭

ニュース8月26日

安楽死先進国カナダ 医師による幇助日常化 「死」の自己決定神聖視

ニュース8月26日
広島市内を歩く中垣氏(左)と前田氏(中央)=前田氏提供

【戦後80年】平和実現願いウオーク 宗派や国籍超え 広島で僧侶・仏師ら

ニュース8月26日
このエントリーをはてなブックマークに追加