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巨大開発による福島復興 国の構想に疑問も(4月30日付)

2025年5月2日 09時14分

津波で家や田畑が壊滅し、長い放射能汚染で居住不能になった見渡す限りの広野に、ポツンと白い巨大な建築物がそそり立つシュールリアリズム絵画のような風景。だが長年の避難からようやく戻った寺院の関係者は「住民にはまず関係がない」と冷ややかだ。

福島県沿岸部で進められている国の「福島イノベーション・コースト構想」。震災と原発事故に見舞われた地域の産業復興を推進するために、ロボットや航空宇宙、精密機器、エネルギー関連など「最先端産業」を集積させる国家プロジェクトで、2024年度までの8年間で約5100億円が投じられ、各地に多数の工場や研究機関、施設などが建設されている――との触れ込みだが、地元への利益還元に疑問符が付いている。

確かに各地に真新しい施設が立地し続けてはいるが、相馬市のある機械関係個人事業主は「工場運営や資材調達でも地場への配慮はなく、頭ごなしに勝手にやっているだけ」。浪江町の女性は近所にできたエネルギー施設を指差し「見学したが、大きな建物に働くのはたった10人。町には何のプラスもない」と言う。

その「新たな開発による復興」の“目玉”の一つ、第1原発が立地する大熊町の駅前にドンとそびえる「CREVA(クレバ)おおくま」は、曲線を生かしたピカピカのデザインの産業交流施設。入居するのは国立の「廃炉安全工学研究所」や不動産会社、各地の除染で出た汚染土の中間貯蔵施設をPRする情報センター、そして最上階には件の「東京電力ホールディングス」が大スペースを占める。

要は事故の原因者とその後始末関係者で、瀟洒なロビーや展望テラスを開放しても住民の姿が見られないのは、すぐ周辺がまだまだ各所でバリケード封鎖された広範な帰還困難区域であり、同町の住民帰還(人口回復)率がわずか7・6%だから当然だ。

原子力緊急事態宣言がずっと継続される中で、原発廃炉のめどさえ立たず、なお数万人が避難を余儀なくされている。「構想」は典型的な“箱もの施策”で「やっています」感を誇示し、見せかけの「復興」を演出することで原発事故の惨状が覆い隠されている、と指摘する被害住民からは「事故で土地が入手しやすくなった所へ国の手厚い援助で大企業が被災地を食い物にして利益をあさっているとしか見えない」との声も出た。

地元住職の「空前の事故の当時『文明の転換』『生き方の見直し』まで言われたのに、相変わらず経済効率、欲望の論理とは」との言葉が重い。

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