PR
購読試読
中外日報社ロゴ 中外日報社ロゴ
宗教と文化の専門新聞 創刊1897年
2025宗教文化講座
PR
2025宗教文化講座 第22回「涙骨賞」を募集

周囲との関係性 死の仮想体験での気付き(5月30日付)

2025年6月4日 09時22分

自らの最期を仮想体験して「いのち」の意味を考えるワークショップが医療や福祉などケア関係者の集まりで行われた。元々、海外で医療従事者向けに考案されたもので、国内でも宗教者が主催したり大学の授業などでも取り入れられたりしている。がんで重篤になり息を引き取るまでの過程をたどりながら自分の生と死、その在り方を見つめる内容に、参加者は深い学びを得た。

東京で同様のワークショップを実施している僧侶は「死について考え、転じて生を考えることは人間の根源的な問いであり仏教的なアプローチ法でもある」と話す。その自分の「生」が、近しい人々やモノや出来事などによって支えられているということに気付くのが大きな狙いだ。

参加者は4色5枚ずつ計20枚のカードそれぞれに大切にしている物や事柄、思い出や人物などを記入し、この段階で自らが様々な関係性の中にいることを実感する。そしてナレーションで「物語」に入り、自分が病を得て重症化し、ホスピスに入院した末に死を迎えるという“体験”の途上で、カードを少しずつ捨てていく仕組みだ。

「家族」や「仕事」「趣味」など大事なカードは人それぞれ。薄暗く静かな雰囲気の中で物語が進行すると、悩みながら2枚また3枚とカードを丸めて落とすかすかな音がし、末期が近づいて人間関係も希薄な状況になると考えあぐねて手が止まりがちになる人も。最後の1枚を捨てて臨終を告げられる時には、すすり泣きも漏れた。

ここまででも十分に自省的だが、後半の全員での「振り返り」では様々な意見が各人の状況を物語る。カード記入自体が大変で「自分が普段、大事な物事を考えていないと気付いた」。大事な人が周りに多過ぎて「選ぶのがつらかった」。事柄も含めてとても多いのに「モノは全く浮かばず白紙にした」人も。最も話題が集中するのはやはり「最後の1枚」だ。

個別の肉親を挙げる例が多かったが、中年以上では「一番世話が焼け、自分の死後が心配だから」「最も一緒にいる月日が長かったから」との理由で「娘」が目立った。初老の参加者からは「日頃うっとうしく感じているので、すぐに捨てると思ったが、最後はやはり」と「配偶者」が挙げられた。

個々の家族は前段で手放し、最後は「自宅」だったという女性が述べた「自分の魂が家に戻り、そこには家族もいて会えるから」との理由は霊的でもある。仏教でいう「放下」「手放す」が、精神の内奥に迫る術でもあるということが想起される。

歴史への視点 戦争のない未来図描けるか(7月16日付)7月18日

日本の戦後80年は世界の戦後80年でもある。人類史上最大の死傷者を生んだ第2次世界大戦の終結から現在までの歩みを考える時、現代世界は戦後を生きているだけでなく、現在進行中…

信用と信頼への努力 宗教の価値を高める余地(7月11日付)7月16日

「巧言令色、鮮なし仁」は論語の一節である。孔子の時代にも言葉だけは巧みでも、思いやりや慈しみに欠けた人は多かったに違いない。言葉を飾ることに長けた人がいるというだけでなく…

宗教と災害支援 地域に根を下ろす活動の中で(7月9日付)7月11日

日本では病院のチャプレンが普及していないが、災害支援活動においては宗教者や宗教団体の働きが活発になされており、行政もそのことを認知する度合いが高まってきている。災害後にボ…

㊧原爆供養塔前で21回目の平和祈念法要を営む天台宗僧侶ら<br>㊨供養塔前で歌唱する麻倉未稀氏

【戦後80年】天台宗岡山・山陰・四国教区合同 広島で戦没者を慰霊 世界恒久平和へ祈り 歌手・麻倉氏、献歌披露

ニュース7月18日

トランプ政権宗教政策始動 ホワイトハウス信仰局 司法省宗教の自由委 政教分離脅かすとの声も

ニュース7月18日
先端に大長刀を付けて巡行する長刀鉾

雨中に歓声 山鉾勇壮に 京都・祇園祭

ニュース7月18日
このエントリーをはてなブックマークに追加